2010年5月4日火曜日

KORG monotron

先日(株)コルグより発売された手乗りアナログシンセサイザーmonotron。価格も手ごろとあって、本物のアナログシンセを触ったことがない人たちには恰好の教材?だと思います。
一昨年、学研から刊行された大人の科学シリーズ”アナログシンセクロニクル”のふろくシンセSX-150を彷彿とさせますが、SXの場合は極限までコストカットしたために半固定抵抗によるコントロールノブ、段ボール製の底板、電源が単三電池4本など、ユーザーが手を加えられるところを敢えて残したと捉えるにしても、あくまで”ふろく”なので実用には及ばないところもあったと思います。monotronは6千円ほどで買える本物のアナログシンセなのです。

 

ということで、ぼくもアナログシンセ回路の”教材”として遊んで・・・いや、勉強してみました。


まず、そのパッケージは同社のチューナーのようです。付属品は電池と取説くらいですから非常にシンプルです。

箱から本体を出すと、その小ささに感動します。単四電池2本で動きます。リボンコントローラを指でなぞるだけで音が出ます。
そしてしばらく遊んでいるといろいろ欲が出てきます。

欲と言うか、世界に二つと無い”俺monotron”に仕立てたくなってきます。



MTM05のネタにもなるということで開腹します。(分解/改造等で故障した場合、メーカーの保証が受けられなくなりますので注意してください)
ここでまた感動。というか絶望・・・
「部品がちっちぇー!」
当たり前と言えば当たり前ですが、リボンセンサーに5つのコントロールノブ、背面のボリュームとミニジャック2つ。残りのスペースに全ての回路を詰め込んであるわけですから部品が小さいのです。1608チップ抵抗なんかはルーペがないと値が読めません。さらに文字(シルク)印刷も細かく入っているのでパターンを追うのも困難です。



しかし、基板を裏返すとアナログシンセDIYer初心者に希望の光が見えます。VCO、LFO、cutoffなど、回路中のポイントがラウンドに現れていますので、ここから信号の入出力ができるようです。



このmonotron、3Vで動くのかと思いきや、内部で5Vに昇圧していました。


今回改造したポイントです。

1.rateノブのLEDを赤から青緑に換装

オリジナルのLED色は赤ともオレンジとも言えないアナログシンセ黎明期を連想させる色ですが、ぼくの好きな青緑色にしました。このLED付きボリューム、他の機器でも最近見ますが、どうなってるかというと、ボリュームの底に小さな穴が空いていて直下に面実装されたLEDの光がそこを通って透明のノブを光らせるのです。

 

2.ノブに白ポチ追加

monotronのノブには印があるのですが一見真っ黒です。浅い溝になっている印に修正液を塗ることにしました。ペイントマーカーより修正液の方が確実に”白”が出ると思います。修正液を一旦外に出してシンナーで希釈し、つまようじで塗りました。はみ出たらカッターの先で削ればOKです。

 

3.LFO/EG切替スイッチ追加

monotronのLFOはよく考えられていて、リボンよりトリガーを受けるとLFOの周期がリセットされます。これはトレモロ演奏の時に有効です。アタック0でディケイが変えられるEGが連続して動作するモジュレータとも解釈でき、連続しないようにすればEGになるというわけで、LFOとEGを切り替えられるスイッチを付けました。スイッチの固定には基板片をケース裏にゲル状瞬間接着剤で貼り付け、そこへ1.0mm真鍮線をハンダ付けしました。もう一方は真鍮線をネジで固定してあります。回路の改造方法に関してはmasa921さんにご指導頂きました。



4.電源ランプ追加

上記3.の改造でEGモードの時、LEDが連続点灯しなくなるので別に電源LEDを設けました。着色パッケージの青LED、秋月で売っているL314LBDを使いました。http://akizukidenshi.com/catalog/g/gI-01222/
電池から1kΩを介して取り付けました。



5.CdS(光センサ)による周りの明るさでpitchとcutoffに作用する機能の切替スイッチの追加

基板ウラにあるラウンド(パッド)につなげられるモノ・・・簡単で面白そうなのでCdSを付けることにしました。光量で抵抗値が変化する部品です。CdSは、いい所に5mmで開けた穴に差し込み、裏からエポキシボンドを流し込んで固定しました。そして、電源の5Vとグランド間でCdSと220kΩの分圧回路を作り電圧の変化として取り出しました。そこから4.7kΩとセレクトスイッチを介してpitchパッドとcutoffパッドに入るようにしました。スイッチの取り付け位置がしばらく見つかりませんでしたが、基板のベタグランド部にスイッチが入りそうなスペースがあったので切り欠いてはめ込みました。基板厚が1.6mmでスイッチの厚みが4mm、スイッチが基板厚分沈めば2.4mmですからかなりの厚みを稼ぐことができました。

     

6.リボンコントローラの演奏範囲を2オクターブに拡張するスイッチの追加

monotronの演奏範囲は1オクターブちょっとです。指先での演奏はこれが限界だと思いますが、タッチペンを使えば2オクターブ行けそうです。そこで、本体背面にあるVCOのスケール調整VRにつながっている820Ωに470Ωを並列につなげるようにスイッチを設け、1oct-2oct切替ができるようにしました。スイッチはリボンの右のスペースに取り付けます。下側のケースを若干加工してスイッチの底が当たるようにして固定できました。

   

7.6に伴う2オクターブ分の鍵盤ラベル追加

2オクターブにすると”感”だけでは正確に弾くことはできないので鍵盤の絵を貼ることにしました。monotronのリボン画像から必要分の画像を作りテプラに出力しました。



8.VCFキートラックの調整(控えめに)

monotronのフィルタはリボンの位置によって開いたり閉じたりします。アナログシンセを理解している人は分かると思いますが、フィルタの開きが一定の場合、高い音に行くに従って音がこもることになります。それはローパスフィルタ(低域通過)の場合、高い周波数成分からカットするためです。その不具合を解消するため、VCOに入れる電圧変化をVCFにもある程度入れてやります。そうすることによって高い音を弾いたときでも一定のフィルタの開きとして聞こえます。デフォルトでは効き過ぎている感じがしたので330kΩを1MΩにして変化をおとなしくしました。

 中央の斜めに付いている[105]がVCFキートラック用抵抗。何度も試している内にパターンが剥がれたので回路がつながっている隣の抵抗にくっつけました。


番外

電線を固定する方法として両面テープを使いました。台紙を剥がして粘着テープだけになるとフニャフニャするので面実装品が載っている基板上の凸凹した所にもある程度フィットします。さらに丈夫にしたい場合はテープに瞬間接着剤を染みこませます。




まとめ

 

手のひらで遊べるアナログシンセというコンセプトをかたくなに崩さず、なるべく本体内で完結する改造にしてみました。

実現できなかった機能・・・

1.モーターを仕込んで、机上に置いたmonotron本体をブン回し、レズリー効果を得る。
2.FMトランスミッタを内蔵し、ワイヤレスでアンプにつなぐ。






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